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相続の単純承認・限定承認・放棄 Q&A

以下、昭和56年1月1日以降に相続が開始した場合(現行法に基づく)です。

Q1.相続が開始した場合、まず何をする必要がありますか。

 まず、死亡の場合は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は、その事実を知った日から30日以内)に市区町村に死亡届を提出する必要があります。失踪宣告の場合は、家庭裁判所の審判確定の日から10日以内に市区町村に失踪届を提出する必要があります。
 銀行等金融機関への届出、年金・健康保険の手続などが必要な場合も多いでしょう。

 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に
 ①単純承認
 ②限定承認
 ③相続放棄
のいずれかを選択しなければなりません。

Q2.単純承認、限定承認、相続放棄について、教えてください。

 単純承認とは、被相続人の権利義務を承継することです。次の場合は、単純承認したものとみなされます。
・3か月以内に選択しなかった場合。
・相続財産の全部又は一部を処分したとき。
・限定承認や相続放棄をした後であっても、相続財産の全部又は一部を隠したり、私的に消費したり、故意に相続財産目録に記載しなかったような場合。

 限定承認とは、相続の承認の一種ですが、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務と遺贈の義務を負うことです。プラスの財産とマイナスの財産(遺贈も含む)のどちらが多いかわからないときや、たとえマイナスの財産のほうが多くてもどうしても引き継ぎたい財産があるときなどに検討すべき選択肢といえます。限定承認をするには、家庭裁判所に申述する必要があります。限定承認は相続人全員でしなければならないとされており、相続人のうちの一人でも単純承認したときは、限定承認はできません。

 相続放棄とは、被相続人の権利義務の承継をしないことです。プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合にメリットがあります。相続放棄をするには、家庭裁判所に申述する必要があります。相続放棄をした場合は、初めから相続人とならなかったものとみなされますので、一部の財産を相続することもできなくなります。

Q3.債務があるかどうかまだ判明しないため、3か月以内に単純承認をすべきか限定承認をすべきか相続放棄をすべきか判断できません。どうしたらよいですか。

 この場合は、家庭裁判所に相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てをすることができます。

Q4.相続の放棄をした場合、相続分はどうなりますか。

 配偶者Aと子B及び子Cが相続人の場合を例とします。

 配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は2分の1ですから、相続放棄がなかったとすれば、配偶者Aの相続分は2分の1、子B及び子Cの相続分は各4分の1となります。

 子Cが相続放棄をした場合には、配偶者Aと子Bのみが相続人となりますから、配偶者Aの相続分は2分の1のまま変わらず、子Bの相続分は2分の1となります。
 子B及び子C共に相続放棄をした場合で、被相続人の直系尊属が一人でも生存している場合は、配偶者Aと当該直系尊属が相続人となり、配偶者Aの相続分は3分の2、当該直系尊属の相続分が3分の1となります。直系尊属が全員死亡していて、兄弟姉妹(代襲相続の場合の甥姪を含む)がある場合は、配偶者Aと兄弟姉妹(代襲相続の場合の甥姪を含む)が相続人となり、配偶者Aの相続分が4分の3、兄弟姉妹(代襲相続の場合の甥姪を含む)の相続分が4分の1となります。
 配偶者Aが相続放棄をした場合は、子B及び子Cのみが相続人となり、子B及び子Cの相続分は各2分の1となります。

Q5.相続放棄をしたことにより相続人に繰り上がった人が相続放棄をする場合、繰り上がった相続人の3か月の熟慮期間は、いつから起算しますか。

 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内となっていますので、基本的には、相続放棄により自身が相続人に繰り上がったということを知った時から3か月以内ということになります。

Q6.被相続人に多額な債務があることや被相続人が多額の債務について保証人となっていることをまったく知らずに3か月の熟慮期間が経過した後、貸金業者から支払いを請求する通知がきた場合、もはや相続放棄はできないのでしょうか。

 被相続人の債務や保証について調査することが著しく困難であるような事情がある場合は、熟慮期間を貸金業者から支払いの請求の通知がきた時から3か月以内と考える余地があり、相続放棄の申述が受理される場合もありますので、相続財産の内容等から相続放棄をすべきケースであれば、家庭裁判所に相続放棄の手続をすることを検討すべきです。貸金業者の支払請求に応じて支払いをしたり支払いの約束をしたりすると、相続を承認したものとみなされて相続放棄に支障が出ることも考えられますので、慎重な対応が必要です。

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